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看護師が悩むモンスターペイシェント、その実態とは

看護師が悩むモンスターペイシェント、その実態とは

モンスターペイシェントという言葉があります。医療従事者に、理不尽な苦情をぶつけたり、罵倒したり、長時間の説明を要求するなど、業務を妨害する患者や家族を指す言葉です。ただでさえ忙しい現場に、モンスターペイシャントの対応が加わると、とんでもないことになってしまいます。現場の看護師が遭遇したモンスターペイシャントの実例を紹介します。そして、モンスターペイシャントへの対応を考えてみましょう。

退院を強制された、人権侵害だ

最近増えているのが「看護師に退院を強制された」と、怒り出すケースです。病院は、在院日数を短縮し、病床稼働率を上げることが求められています。必要以上の安静目的で入院し続けることは出来なくなっています。クリティカルパスを導入している病院では、疾患や検査内容であらかじめ入院期間が決められています。クレームの実例を紹介します。もともとは在宅介護を受けている80代の女性患者さん、大腸内視鏡検査と内視鏡治療を受けられました。担当看護師がバイタルサインを測定しに行った時に、「もうすぐ退院ですね、良かったですね」と声をかけました。すると、翌日同居する息子さんが「退院しろと強制された、退院を決めるのは患者の権利だ、人権侵害だ」とナースステーションに怒鳴り込んできたというのです。「入院して足の力が弱った、リハビリが必要だ」「追い出すつもりか」「3カ月ぐらい入院させるつもりでいたのに」とまくしたてられ、医師やソーシャルワーカーを交えた話し合いも難渋しました。

絶対に失敗するな、痛いことは絶対いやだ

採血、点滴、注射を絶対に失敗されたくない、失敗は医療事故だ。とまだ針を刺してもいないのに怒り出す患者さんがいます。実際に遭遇したケースは、看護師が治療用の点滴をするために、駆血帯で腕を軽く締め穿刺する場所を探していました。軽くさすったりして血管が出るようにしていたところ、急に怒り出してしまったのです。「私を誰だと思っているんだ!○○新聞社の役員だぞ!お前らは技術が無いのか、バカにするな」と言った調子です。「病院長を呼べ」と激昂しなだめるのに時間がかかってしまった、ということです。看護師は「まだ針も指していないのに。怖いなら検査うけないでよ」と呆れてしまいました。痛いことを極端に恐れ、クレームをつけてくるのは大抵が男性患者さんの様です。

看護師のサービスが足りない、何もしてくれない

看護師はどんなサービスをする人だと思っていたんですか?と聞き返したくなるような患者さんがいます。入院患者さんの中には、入院すれば身の回りのことは何でも看護師がする、と思い込んでいる人がいます。例えば、歩行に全く問題がないにも関わらず、ナースコールを連発し、「ご飯食べ終わりました(自力で下膳できる)」「ゴミを回収して(清掃は時間が決まっている)」「体は拭いてもらえないのか(自力でシャワー可能)」といった数々の要求を繰り出してくるケースです。看護師が、入院生活では出来ることはご自身でお願いします、と説明すると「高い個室料金を払っているのに、サービスが行き届いていない」と怒り出してしまったそうです。どうやら、ホテル並みのサービスを期待している様です。

いつまで待たせる気だ、バカにするな

現場の看護師を悩ませ、最もモンスターペイシャントが出現しやすいのが待ち時間問題です。「いつまで待たせる気だ」「自分は順番を抜かされている」「しんどい自分が優先されないのはおかしい」といった内容です。外来診療の待ち時間、会計待ち時間だけとは限りません。入院中患者さんの検査結果説明のため、指定した時間に家族が来院されていたが、担当医の手術が長引いて待たせてしまった。ということもあります。待ち時間問題は、看護師が「あと〇〇分待ってください」と明言できないことがほとんどです。「どれくらい待てばいいんだ」という問いにはっきり答えられないことで、余計に怒りを増長させてしまう事があります。

救急外来、夜間時間外でも専門医を出せ

病院に行くためにわざわざ仕事を休めない、といった理由で夜間時間外に受診する患者さんがいます。「1週間ぐらい前からお腹が痛い、微熱もある」というような症状が多いようです。救急外来、夜間時間外では、緊急性が無いかを診察し、最低限の薬しか処方できません。診察を担当する医師が消化器内科医とは限りません。詳しい検査は、普段通りの外来に来てもらう必要があります。しかし、「せっかく来たからちゃんと精密検査をして欲しい」「専門医を出して」「なるべく長めに薬を出して」とながながと訴えられることがあり困ってしまいます。

試される、看護師の対応力

クレーム対処の基本は、話に共感していると感じさせる事、良く聞く事です。看護師は忙しい業務の合間に手を止められることになるため、どうしても途中で話を遮りたくなってしまいますが、これは禁物です。時間が気になって、チラッと時計を見てしまうのも禁物です。話を聞いていない!バカにされた!と怒りに火をつけ、更に時間がかかってしまう危険性があります。イライラしたとしてもとにかく、話を最後まで聞ききることです。

クレームに隠された患者さんの問題が分かることも

最初に例に挙げた「退院を強制された」とクレームを受けたケースがどうなったか解説しましょう。一見すれば、患者さんの息子さんはかなり悪質なモンスターペイシャントだと思われます。しかし、徹底的に息子さんの話を聞いて行くうちに、在宅介護の限界という問題点が見えてきました。80代となりだんだん足腰が弱り、トイレまで自力で行けず下着を汚してしまう事も多くなってきたお母さんと、二人暮らしの息子さん。自宅での介護をどうしていいか分からなくなっていました。今回、大腸内視鏡治療で入院することになったことをきっかけに「3ヵ月くらい入院してもらって、その間にいろいろ考えよう」と思っていたそうです。そこに思いがけず早く退院の話をされて「今帰ってきてもらっては困る」と焦ってしまったようです。長い話し合いの中で、「しばらくの間、病院で預かってもらおうと思っていた」「介護に疲れた」という言葉が聞かれました。ソーシャルワーカーは、ケアマネージャーを交えて訪問介護・訪問看護の利用、レスパイト入院できる施設を提案することで、問題は解決に向かい無事に退院することができました。

看護師は、抱え込まずに相談を

モンスターペイシャントへの対応に時間をとられ、受け持ち患者のケアや観察がおろそかになっては危険です。また、暴言・暴力による身の危険を感じた時は、絶対に一人で対応せず、助けを呼びましょう。男性事務職員、他職種、男性看護師に同席してもらうのも一つです。患者さんを怒らせてしまったのは自分のせい、自分一人で解決しなければ、と抱え込むとさらに問題を悪化させてしまう事もあります。クレーム対応、モンスターペイシャント対応は組織全体の問題です。金品の要求、診察料を払わない、過度の謝罪(土下座など)、居座り、などの悪質な要求には組織として毅然とした態度が必要なってきます。

さいごに

忙しい毎日の中でモンスターペイシャントに当たってしまうと、とてもツラく、看護師辞めたい、と思ってしまうこともあるとおもいます。モンスターペイシャントの対応に、看護師一人で立ち向かうのは無理です。院内、施設内の応援体制がしっかりした職場を選んで、安心して働きたいものです。看護師のお仕事探しは、【看護の天職】にお任せください。アドバイザーが安心して働ける職場との出会いをサポートいたします。

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